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沖縄地場金融告発リポート 第一弾/本誌編集部特別取材班

沖縄地銀、中小企業の発展を阻害、「貸しはがし」でM&Aに追込む

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空から見た那覇市

 東京などから沖縄に遊びに行った人が一様に驚くのは、沖縄には大手銀行の支店がないことだ。

 実は那覇市の国際通りに、みずほ銀行の支店があるのだが、これは宝くじ実施の関係で各都道府県に支店を設置する義務があるためだ。

 大手銀行が沖縄に支店を設けないのは、なにも沖縄の失業率が日本一だからではない。

 昭和47年の沖縄の本土復帰に際して、地元銀行を保護するために、大手銀行は沖縄に出店させないという特例が設けられた。

 そのお陰で、沖縄では地元の金融機関である琉球銀行や海邦銀行、沖縄銀行の3行が銀行としての業務を独占して今に至っている。

 これら3行は、後に本土で吹き荒れた金融界再編劇に巻き込まれることもなく、沖縄で悠々自適の金融活動を行っている。何しろ、都銀という手強い競争相手のいない沖縄では、地元の中小企業に融資をするにしても、その判断は銀行側の胸先三寸、まさに中小企業の生殺与奪が可能なのだ。

 これは何も沖縄だけの問題ではないのだが、今日本は3月に東北地方を襲った未曾有の災害による全国的な不況の只中にあると言ってもいい。その中で中小企業は生き残りをかけて必死に戦っている。沖縄の中小企業も同じだ。総力を挙げ、知恵を絞り現状打破を目指している。

 しかし、地元銀行が金融の蛇口を閉めている。新しく起業したくても融資が受けられない。

金融自由化に門戸を開け

 知人が経営する企業は沖縄では優良企業として、確実に利益を上げている。知人は更なる飛躍を遂げようと、自己資金で店舗、施設を拡大した。落成式には銀行の頭取も来て挨拶をしたほどだ。友人も喜び、その銀行に多少の融資を頼んだら断られた。これには知人も「なんのために挨拶に来たんだか」と口惜しがっていた。

 これが沖縄の金融機関なのだ。これでは沖縄の中小企業に発展の道はない。沖縄経済は沈むばかりだ。

 「貸しはがし」行為、これは、銀行が決してしてはいけないという金融庁からの通達があるにも拘らず、いまだに全国的に行われている違反行為であり、しかも沖縄に一番多い。そもそもこの不況の中、金利だけでも支払える企業というのは、まだ将来性があると言える。

 本来、銀行のあり方は、金利の高さで客から預金を集め、それを収益力のある企業や新規ビジネスに貸し付けて利ざやを稼ぐのが正道のはずだ。だが、近年の沖縄の金融機関は、そうした本来の立場から逸脱し、M&Aの仕掛け人になっているケースが目立つ。M&Aも両者が納得した上ならまだしも、一方的に貸し付けた債務の返還で、金利は支払っているのに、元金一括返還を迫る貸しはがしで相手を窮地に立たせ、M&Aへと追い込んでいく。沖縄の地元企業にすれば、親とも頼む銀行に裏切られるのだ。

 昔から言われるように「良い商い」は「良い行い」と一致していなくてはいけない。銀行も融資を受けた企業も共に成長するのだ。沖縄の銀行にはこれを胸に刻んで欲しい。単に保身の強欲だけで商いを続けるならば、それはやがて沖縄の金融の破滅にも通ずることになるだろう。

 沖縄の為政者に強く提言する。金融の自由化、一日も早く沖縄の金融界の門戸を開いて、大手そして各地銀の進出の許可を願いたい。沖縄の中小企業は生存を賭けて金融自由化を願っている。