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大阪ダブル選で「維新の会」圧勝

都構想実現へ国政に第一歩も

 11月27日に投開票された大阪府知事選と大阪市長選のダブル選挙は、地域政党・大阪維新の会が圧勝した。「維新の会」代表の橋下徹(42)前府知事は市長に、同会幹事長の松井一郎(47)前府議は府知事にそれぞれ初当選した。この圧勝を受けて橋下氏らは共通の公約である「大阪都構想」の実現に必要な住民投票や法整備のため国への働き掛けを開始するが、政府や国会の動きを促すためにも、国会での議席確保に向けて次の一歩を踏み出す意向を示している。

 府知事選では80万票、市長選では23万票という大差を2位と付けた大阪秋の陣。今回、注目された選挙で橋下氏が勝利したことにより、大阪都構想に対する大阪の民意は「是」としたと言える。

 ただそれを実現する上での最大の問題は、地方自治法の改正だが、「維新の会」は国会に議席を持っていない。そのため橋下氏は当選直後の記者会見で「都構想を4年で実現できるよう、国に法改正を求める」と述べた上で、国が法整備に動かない場合を想定して「年内にも国会議員の候補者擁立の準備を始める。近畿一円で擁立したい」とも語ったのである。

 この勢いがどこまで広がりを持つかは不透明だ。少なくとも「維新の会」が衆議院選挙に出馬すれば、大票田である大阪の小選挙区と近畿の比例代表区で議席を獲得する可能性は否定できない。橋下氏の動向が民主、自民、公明などの既成政党に与える影響は無視できなくなったと言える。

 また、この地域政党の躍進に乗って愛知県、名古屋市などの地域政党も国政選挙に名乗りを上げる可能性が強まっている。さらに、東京都知事による石原新党の旗揚げや民主党内の反主流派・小沢一郎元代表のグループとの連携もあり得ることから、「維新の会」の国会進出により、大きな政界再編の渦が巻き起こる可能性もある。ただ、「大阪都構想を超えた国政全般を網羅したマニフェスト(政権公約)を提示できるのか」(自民党中堅)との指摘もある。地域の主張のみを前面に掲げた政党は、国政を混乱させるだけだからだ。

 橋下氏にとっての第一関門は、「都構想」に向けた手続きを着実にこなしていくことにある。「都構想」は、政令指定都市である大阪市と堺市を廃止・解体し、両市を人口30万人規模の計10?12の特別区に再編するなどして、東京都と同じ体制を大阪につくろうとするものだ。そのためには、「維新の会」が過半数を持たない大阪、堺両市の議会で条例と関連条例を可決しなければならない。さらに、府民の賛否を問う住民投票で過半数を得ることも必要だ。

 民主党の輿石東幹事長は、今回の結果について「既成政党への閉塞感への表れ」であり、「国政にそのまま即影響してくるとも思えない」と危機意識のないコメントで済ましているが、橋下氏が関門をひとつ1つクリアして本丸に迫る可能性のあることは事実だ。

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