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米との国交に意欲 訪日したイラン副大統領

 長い間、欧米からの経済制裁などを受けて国際的孤立を余儀なくされたイランを訪問する外国人観光客が急増している。イラン観光局によると、この10ヵ月で前年比約2割ほど増えているという。

 イランには世界的に有名なイラン中部のイスファハンやシラーズなど、いずれもホテルは満室で予約が難しくなっている。

 長年にわたる政治的対立で国交が断絶している米国からもツアーの申し込みが増えている。

 こうしたことから最近では外国人向けの入場料が激しく値上がりし、中には数十倍近い値上げを断行したところもあるなど、イラン人と外国人観光客との二重価格の乖離は広がるばかりだ。

 イラン政府としても外国人などからキャッシュが落ちる観光を、大きな収入源にしたい意向もある。

 イラン観光客を急増させているのはイランをめぐる政治的潮流の変化だ。

 昨年、誕生したロウハニ政権は欧米諸国との関係改善を進め、核開発問題で暫定合意を勝ち取っている。

 こうした政治的雪解けが始まったことで、諸外国との人々の行き来が増え始めている。とりわけ欧州との関係改善が進展し、今春からはオーストリア航空がイランへの直行便再開に踏み切っている。

 またイランはビザの取得が難しいことで有名で、観光客が二の足を踏む理由の一つだったが、ロウハニ政権は開放路線を打ち出し、ビザを取りやすくしたことも観光客増加に一役買った経緯がある。

 元来、イランは豊かな観光資源を持つ国だ。一般的には砂漠のイメージが強いが、国土は日本の4倍以上と広大で、北は世界最大の湖カスピ海、南はペルシャ湾まで多様な自然を誇る。さらに古代ペルシャ時代からの長い歴史を持ち、有名なペルセポリスの古代遺跡など多くの世界遺産を抱えている。

 なお日本財団の招待で訪日を果たしたイランのエブテカール副大統領兼環境庁長官は4月3日、ロウハニ政権について「インフレ率は抑制され、為替も安定して民間部門の投資は増えている」と強調するとともに、芸術分野や報道の自由でも改革路線を進めているとした。対米関係について「核問題が解決され、相互不信が解消されれば、外交関係樹立は可能だ。米国とは戦争を行っているわけではない」と述べ、米国との国交回復に意欲を示した。都内のホテルでの講演で語った。米国は、1979年2月のイラン・イスラム革命に続いて起きた在テヘラン米大使館占拠事件を機に80年に断交したままとなっている。

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