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ASKAが歌う覚醒剤 「SAY YES」で

浮上する風俗営業届け無し「パソナの闇」

 週刊文春が昨年8月、「CHAGE and ASKA」のASKA(本名・宮崎重明)(56)の〝ヤク中疑惑〟を報じて以来、世情を騒がせてきたASKA容疑者が5月17日に、覚醒剤取締法違反(所持)容疑で逮捕された。逮捕以降、しばらく否認していたASKAがついに覚醒剤使用を認めた。押収された大量の薬物に観念したのかASKAは持ち歌の「SAY YES」を歌い始めたのだ。押収された大量の薬物は、すさまじい薬物依存の中毒症状を物語っている。

 もっとも、陰で泣いている人は少なくない。中でも薬物依存で家庭崩壊直前まで追い込まれていた夫人は、普通なら麻薬にはまって精神さえも侵され始めている、どうしようもない「廃人」同様の夫を見捨ててもおかしくない状況下で、強制入院さえ覚悟するほど最期まで治療を受けさせ更生の道を模索していた。

 「婦道記」を地で行くその夫人を悲しませたのは、一緒に逮捕された栩内香澄美容疑者(37)だ。ASKAは、毎週末に訪れていた栩内宅であえなくお縄となった。ASKAが溺れていたのは覚醒剤だけでなく、美女・栩内にもぞっこんだった。

 栩内容疑者は青森県南津軽郡藤崎町出身。母親は白血病で 、彼女の学生時代に亡くなり、大工の父親と妹と3人で町営住宅に住み、地元中学校を卒業後、弘前実業高校を経て上京している。

 東京では教育関連会社などを転々とし、パソナ関連の経営コンサルティング会社で働くようになる。その後もパソナグループ内をジョブホップし、逮捕時は同グループの協力会社であるメンタルヘルスケア会社、セーフティネットの正社員として働いていた。数年前まで安アパート暮らしを余儀なくされた栩内容疑者が、現場となった南青山のマンションを社宅として提供され、特別の厚遇を受けていたことが分かる。

 そもそもASKAと栩内容疑者が出会ったのは、高級住宅街として知られる港区元麻布の一角を占めるパソナグループの施設「仁風林」だ。

 「仁風林」は高い塀と鬱蒼と茂った木々で周りを囲まれ、外からは中の様子が伺い知れない構造になっている。

 この「仁風林」というのは、パソナグループの代表・南部靖之氏のサロンだ。「仁風林」は料亭か大邸宅のような雰囲気が醸し出されている。少し前までは、料理人を呼んで豪勢な料理を振る舞うこともあった。宴会になれば、コンパニオン役の美女十数人が至れり尽くせりのサービスとなる。

 「仁風林」には政、財、官だけでなく、各国の大使館の要人、大物芸能人など各界のVIPが訪れており、ASKAもその1人だった。パソナとすれば表向き「社員研修や外部との懇親を深める福利厚生施設」ということだが、実態は要人やVIPの接待施設だ。

 女性と酒が付く接待施設であれば管轄警察署に「風俗営業」の許可を取る必要があるが、元麻布2丁目の「仁風林」は管轄の麻布署生活安全課に許可はとっていない。「仁風林」は、いわば福利厚生施設という名目で、もぐりの風俗業を営業していたことになる。

 無論、接待を受ける政治家や財界人、官僚、芸能人としてみれば、スポンサー付きの便利な異業種交流の場でもあったのだろうが、実体は政、財、官に食い込み、パソナにとって都合のいい政策を引き出したり、企業連携を仕掛ける政治工作と財界渉外の場であったことは想像に難くない。

 「仁風」とは、仁徳の人格的影響を、「林」はそうした人物が並び立つこをと意味するが、パソナの「仁風林」は、他人を思いやる仁ではなく、政治力や金、人気という世俗の権力に媚びた「俗人の群れ」でしかない。

 ASKA事件は、麻薬に溺れた一芸能人の破局だけでなく、接待漬けで企業利益を引き出そうとするパソナの闇をも、浮かび上がらせている。

 財界ウオッチャーがぼそりとつぶやいた。

 「パソナはリクルートより悪質だ」。

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