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沖縄銀行告発リポート第一弾 本誌特別取材班

地場産業の発展を阻害し貸剥しでM&Aに追込む

 基本的に企業が破たんに追い込まれるというのは、競争相手の台頭といった外的要因より、社内の分裂や愛社精神の欠落、勤勉さを失い浮利を追う内的要因によるものが多い。沖縄の金融機関も、近年、そうした危険信号がともるような事態にいたっている。

 沖縄の金融機関は、産業育成の精神を欠き、沖縄銀行のように単なるM&Aの仕掛け人になるなど新自由主義の旗を振っているようなケースが目立つ。

 M&Aも両者が納得した上ならまだしも、一方に貸し付けた債務の返還で金利は支払っているのに、元金一括返還を迫ったりして相手を窮地に立たせ、M&Aへと追い込んでいく強引さが目につく。

 被害にあった企業トップからは、「電話録音したテープ」を暴露してでも、現実を知らしめたいとの苦情が出るほどだ。

録音テープ暴露も

 例えば沖縄銀行では現在、沖縄の有力な酒造会社のM&Aに乗り出している。しかも力ずくの強引な謀略的手法が顕著だ。陣頭指揮を執っていたのは、沖銀法人融資部前執行役員のG・M副部長であり、その後を仕切っているのは、同執行役員のY・Y部長とされる。その下にいるのが同部調査役のK・S氏だ。現在、G・M氏もY・Y氏も奥の院に隠れていて前面に出てくることはない。

 沖縄銀行に対しては、電話に何度も取材を申し入れたものの、「不在」とのみの返答で、玄関払いにも似た対応だった。

 当人に信念や確信があれば、何も恐れるものはないはずなのに、これでは何かやましいことがあるのではないかと勘繰られても不思議ではない。

 大体、上から目線に慣れている銀行幹部というのは都合の悪い話に真正面から向かうことはまずない。大体、逃げの一手で下っ端にその役どころを回していくものだ。沖縄銀行もその例外ではない。

 さらに沖銀が金融庁に説明している内容と現実にギャップがあり、沖銀が二枚舌を使っている疑いがある。

 某企業トップが危惧するのも、頭取はじめ沖銀上層部がそもそも、こうしたことを知っているのかということだ。

 バンカーが尊敬されてきたのは、金庫に眠っている札束の山でも金塊の量でもない。産業を育成して大きく地域経済に貢献していくバンカーの誇りと精神こそが人々の賞賛を得てきたものに他ならない。

 わが国ではグローバル経済とともに到来した新自由主義に影響され、米国型の強欲資本主義に一時、席巻された経緯がある。その結果は、リーマンショックに見られるような金融危機の大津波だった。倫理のブレーキを失った強欲資本主義の暴走は、世界を経済的破局の淵へと押し込んだのだ。

これでは町金と同じ

 今、問われているのは、法の網を潜り抜けようとする新自由主義に歯止めを設け、経済に秩序を付与する作業だ。その意味では、沖縄の金融機関の趨勢には疑問がある。

 金融機関が金儲けのためだけのマシーンになった時、経済と産業の崩壊が始まる。

 金儲けだけを考えている銀行は、どこにでもある高金利の町金と本質において変わらない。本物のバンカーは、企業の悩みに答えたり相談に乗り、大きく育てる中で利潤をあげてきた。地域産業のパイを広げ、経済に活力を注ぎ込む金融機関であってこそ、地域の守護神たる地場銀行だ。

反社会組織に融資か

 特に中小企業金融円滑化法(モラトリアム)が昨年3月に期限切れになった途端、沖縄では待ってましたとばかり、手のひらを返したような貸し剥がしが横行している現実がある。本来、モラトリアムは赤字を垂れ流し続け市場社会から退場すべき企業の延命に手を貸すようなものではなく、このままでは空洞化しかねない日本の製造業をジリ貧に追い込まない国家戦略でもあった。

 銀行に儲けるなといっているわけではない。分を超えた大義なき利益至上主義は、資本主義社会のガンになるリスクが存在する。利益至上主義に走る金融機関が往々にして失敗するのは、手を出してはいけない反社会組織に融資することだが、そのリストが公開される日を待ちたい。

 (次号に続く)

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