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第二位メガバンクJA

本来の農業組合に戻せ

 なお、米価が上がることで農協は価格に応じた販売手数料も上がった。また、米価が上がったので兼業農家が滞留した。兼業農家の農業所得も農協口座に預金されていった。こうして農協は預金額90兆円という日本で第二位のメガバンクに発展していった経緯がある。

 安倍政権は農協改革に手を付け、これまでどの政権も取り組めなかった禁断の問題に手をつけた勇気は評価される。ピラミッド式の統治形態を保持し、その頂点に立っていたJA全中の権限を弱めることになったことは一歩、農業改革に踏み込んだことになる。

 ただ将来の問題として、今のJAというのは農業部門を切り離し地域協同組合として残すべきだ。金融機関としてのJAは90兆円もの預金を集めながら、その1%から2%程度しか農業には融資していない。農家ではない準組合員という人たちの住宅ローンなどへ3割が融資され、残りは米国のウオールストリートで有価証券の投資をして運用益を上げているに過ぎない。

 しかし、本来の農協は農家が相互に融資し合う組合としてつくられた歴史から考えると、今のJAには農業金融という性格は消えている。農家ではない準組合員の方が、正組合員より100万人も多い。これが農業の協同組合だというのはいかにもおかしな話だ。

 今のJAは戦前の統制団体を戦後、コメの集荷が必要だったために衣替えして作ったものだ。

 消費者が生協を作るように、農協は今のJAとは別に専業農家の人たちが自主的に作ればいい。これこそが本来の協同組合のあり方だ。

 要するに、農業協同組合がいらないというのではなく、本来の形に戻すべきなのだ。

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