トップページ >

永田町ファイル

自民党 安倍晋三 記者会見5・1

北朝鮮問題、改憲

【記者】
北朝鮮の非核化や拉致問題の解 決を、今後どのように進めていきますか。 また、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長 は、先日の南北首脳会談で、いつでも日本と対話を行う用意があ る、と述べたと韓国側は発 表していますが、日本政府 としては今後、日朝首脳会 談の早期実現も視野に、対 応を検討していきますか。

【首相】
先般行われた南北 首脳会談が、朝鮮半島の完 全な非核化に向けた重要な 一歩と評価しています。こ の重要な一歩を、北朝鮮の具体的な行 動につなげていくことが極めて重要であ り、つなげていかなければなりません。
 北朝鮮が、核兵器やその他の大量破壊 兵器そして米国のみならず日本も射程に 入れた弾道ミサイルを含め完全に検証が できる形で、後戻りできない、すなわち 不可逆的な形で廃棄できるよう、引き続 き圧力を維持していかなければならな い。そのことを日米、日韓、さらには各国 首脳に訴え、緊密な連携を確認しました。
 日中韓のサミットは非常に重要なサミ ットになると思っています。文在寅大統 領、李克強首相と、どのようにすれば北 朝鮮が正しい道を歩み、拉致、核、ミサイルの問題を包括的に解決し、明るい未 来を描いていくことができるか、じっく り話し合いたい。こうした国際社会の連 携をバックに、米朝首脳会談において北 朝鮮の行動がより具体的なものとして示 され、今後の道筋がより明確になってい くことを期待したい。
 わが国の方針は、一貫しています。日 朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサ イルの諸懸案を包括的に解決し、北朝鮮 との間でその不幸な過去を清算して国交 の正常化を目指していくということで す。この目標に向けて最大限の努力を積 み重ねていく考えです。

【記者】
自民党は、憲法9条への自衛隊 明記など4項目の改憲案をまとめました が、野党は今の混乱する国会状況で改憲 議論には応じられないとしています。ど のように対応されますか。また、現在も 2020年の改正憲法施行を目指してい らっしゃるのか、改憲発議を来年の参院 選の後にするお考えはないのかについて も伺います。もう一点、野党は、文書改 ざん問題で麻生財務大臣の辞任を求めて いますが、調査終了後も麻生大臣を続投させるお考えですか。

【首相】
日本国憲法は、施行されてから 70 年以上が経過しています。この間、世 界の情勢も、人々の暮らしも大きく変わ った、社会も大きく変化したと言っても いいと思います。憲法は、国の形、そし て理想の姿を示すものです。時代の節目 にあって、どのような国づくりを進めて いくのかという議論を深めるべきときに 来ていると考えています。
 そこで、ちょうど1年前、私は自由民 主党の総裁として一石を投じる気持ちで 憲法改正について発言しました。言うま でもなく、現行憲法の平和主義を始めと した基本原則を変えるつもりは全くあり ません。その上で、わが国の独立と平和 を守る自衛隊を明記し、違憲論争に終止 符を打つことは、今を生きる政治家とし ての責務と考えています。この1年間で 改憲議論は活発化したと思います。賛成 反対を含め様々な議論がなされていると 思います。
 自民党においても、本年の党の運動方 針として、具体的な4項目について議論 を重ね、憲法改正案を示し、憲法改正の実 現を目指すこととしたところです。細田 本部長、そして根本事務総長の下、憲法改 正議論がいよいよ煮詰まってきていると 考えています。これは1年前とは大きく 変化している。この 70 年間、あるいは、自 民党が立党されてからの 60 年間も党の大 きな目標として掲げながら、なかなか進 んでこなかったのは事実ですが、この1年 間で相当、批判も含めて議論が深まって きた、また広がってきたと考えています。
 まさに憲法というのは国会が発議し、 最終的には、国民が国民投票によって決 める、これが法律とは大きく違うことで す。そのためにはしっかりと国会で議論 がなされ、理解が深まっていくことが大 切だろうと思います。今後、憲法審査会 において、建設的な議論が深まっていく こと、それぞれの見識によって議論が深 まっていくことが期待されています。そ もそもこれはスケジュールありきではあ りません。まずはしっかりと議論が深ま っていくことが大切であろうと思います。
 また、今般の決裁文書に関わる問題に ついては、国民の皆さまから厳しい目が 向けられていることを真 し ん し 摯に受け止め、 麻生財務大臣の指揮の下、徹底的な調 査を進めていくように指示をしてきてお り、できる限り速やかに結果を示したい と思います。その上で、麻生大臣には、再 発防止を徹底するとともに組織を立て直 してもらいたい、その責務をしっかり果 たしていってもらいたいと考えています。

【記者】
今回の(中東)訪問には、民間企 業の経済ミッションが同行しています。 これらの企業が、戦略的立地を有するヨ ルダンに対し投資を促進するには、どの ような取り組みが必要とお考えでしょう か。また、日本政府は、日本の民間企業に よる対ヨルダン投資を後押しするために、 どのような取り組みを行っていますか。

【首相】
今回、日本から民間企業のCE Oの皆さんたちに同行してもらいまし た。そして先ほどは、アブドッラー国王 御臨席の下に、ワーキングランチを共に したところでして、各企業の皆さんは、 既にヨルダンに投資をしている、あるい はヨルダンで仕事をしてきた、あるいは 大きな興味を抱いている皆さんです。
 ヨルダンは、中東地域内外の各国と良 好な関係を有しており安定しています。また物流の、情報のハブとしてのポテン シャルを持っています。こうしたヨルダ ンの優位性に着目して、日本の代表的な 企業がヨルダンの太陽光や火力発電等の インフラ・プロジェクトに投資しており、 貿易額も増加傾向にあります。さらに今 般、日・ヨルダンの投資協定に実質合意 しました。これは、投資環境が非常に整 ってきたと言っても、改善されてきたと 言ってもいいと思います。伝統的な大企 業だけではなくて、今回はスタートアッ プ企業のCEOも同行していて、ヨルダ ンの企業との協力、あるいはヨルダンの 優秀な人材を活用して事業を展開したい という気持ちも持っています。
 大切なことは、企業の皆さんが実際に 自分の目で見て、ヨルダンの実際の姿を 知ることだろうと思います。そういう意 味においては、今回の訪問によって、さ らに日本企業の投資が増えていくことを 期待したいと考えています。


記者コラム
際立つ野党の国益自覚欠如
 改憲反対が〝社是〟の朝日新聞は、中 東ヨルダンでの安倍首相の内外記者会見 でも改憲発議先送りの〝薦め〟ともとれ る質問をしていた。憲法記念日3日の 前々日なので、憲法に関する質問が出る のは不自然ではない。ただ「現在も20 20年の改正憲 法施行を目指し ているのか」「改 憲発議を来年の 参院選の後にする考えはないのか」など と立て続けに聞く朝日記者の問い掛けに、 首相は改憲の意義を語りつつ「スケジュ ールありきではない」「議論の深まりが 大切」などと平然と切り返した。ただ、 改憲論議が遅々として進んでいないことにいらだちを覚えていたに違いない。
 この記者が指摘したように、「野党は 今の混乱する国会状況で改憲議論には応 じられない」という情勢認識はそうだろ う。森友・加計問題がいつ片付くのかは っきりしているわけではない。しかし、 そうだからといって、首相が「国のあり 方」に関する最重要の議論を疎かにして 来年夏以降の参院選後に先送りする考え など全く持っていまい。来年は統一地方 選、天皇陛下の退位・即位の儀式、参院 選が控え、再来年はオリンピックの年であるため予定が窮屈だ。そのためにも議 論を活発化させ年内決着を図りたいの が、首相の腹の内なのである。
 「1年前、一石を投じる気持ちで憲法 改正について発言した」「この1年間で 相当議論が深まってきた」と語る首相は、 自民党総裁として具体的な4項 目の改憲案を示すなど着実に歩 を進めている。問題は、それを 受けて国会の憲法審査会が建設 的な議論に踏み込めないことなのだ。自 民党は国民投票法改正案の今国会成立に 向けて他党に協力を求めているが、一歩 でも議論を前に進め環境を整えていくこ とがいま、国益上、国会には必要なので ある。野党の自覚欠如が際立っている

この記事のトップへ戻る