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党首討論要約 5/30

安倍晋三首相(自民党総裁)と立憲民 主党の枝野幸男代表ら主要野党の党首に よる党首討論が5月 30 日に国会内で行わ れた。党首討論の開催は一年半ぶり。討 論の要約は次の通り。

国民民主党・玉木雄一郎共同代表

「直球勝負でいきます」
【玉木氏】
骨太の議論をしたいので、直 球勝負でいきます。今日は経済政策を重 視する政党として日米の貿易問題につい てまずおうかがいしたい。5月 24 日にト ランプ米大統領はロス商務長官に対し、 アメリカに輸入される自動車が安全保障 上の脅威ということで調査し、場合によっては今の2・5%の関税を 10 倍の 25 % にするという方針を示しました。
 もしこれが実際に行われてしまえば、 日本経済にとっては大打撃です。アメリ カに対する日本からの輸出は約 14 兆円だ が、自動車関連は部品を含めて約5兆円 で4割弱ですね。ですから、日本経済に 大打撃だし、世界経済にとっても大打撃 だと思います。今、もの作りの現場の皆 さんはまさに生産性革命で、少しでも生 産性を上げようと一生懸命努力していま す。こういう努力が全部吹き飛んでしま う。そんな不条理で不公正な貿易ルール は認められません。
 そこで伺います。今回のこのアメリカ の措置は、調査して場合によっては輸入 制限、高関税ということになりますが、 実施にあたって事前に安倍総理に対し、 外交ルートを通じて何らかの連絡や説明 がありましたか。わが国は重要な同盟国 であるし、100%ともにあるというこ とを総理自身よくおっしゃいます。まさ か事前の通告なくこういうことをやられ たとしたら、私は同盟国と見なされてい ないではないかと疑わざるを得ません。 実際にどういう通告・連絡があったのか 教えてください。

【首相】
通商拡大法の232条に関して のご質問だと思います。まず、鉄鋼、ア ルミについて、これは米国が処置をする ということがございました。しかし、ご 承知のように、鉄鋼においては多くは日 本しかできないものであり、そして残り の6割は日本しかできない、代替が不可 であります。残りのものについてもそう 簡単に代えられません。ですから、これ に直ちに対応すると、韓国のように、数 量制限を課せられたり、NAFTA(北 米自由貿易協定)の交渉、あるいはE U(欧州連合)との関税の交渉のように、 てこに使われたりします。それで、われ われは今しっかりと構えながら対応して いるところでございます。
 そこで、それをさらに拡大して、車に ということでございますが、しかしこれ は今、検討ということでございます。わ れわれは、まず安全保障上、同盟国の日 本にこういうものを課すというのは極め て理解しがたいわけでございますし、受 け入れることはもちろんできません。
 そして、鉄鋼、アルミもそうですが、 全ての貿易投資については、行為につい ては、WTO(世界貿易機関)と整合性 がなければならないと、こう思っており ます。ですから、われわれはWTOに対 応して、しっかりと考えていきたいと思 います。
 事前通告があったかなかったかという ことについては、今まさに米国とのさま ざまな連携をしながら、この問題などに ついても打ち合わせをしているわけでご ざいます。(米通商代表部代表の)ライ トハイザー氏と(経済再生担当相)の茂 木敏充氏が交渉をしていくことになるわ けで、詳細についてはお話はできません が、まだ彼らがこの措置をしていないの で、予断を持ってお答えすることは差し 控えさせていただきたいと思いますが、トランプ大統領にはしっかりと『われわ れは雇用に大きな貢献をしている。私た ちが輸出している車の倍の台数を米国で 作っている。確かに、貿易インバランス は690億ドルあるが、757億ドル、 日本の企業が米国で生産してそれを海外 に輸出し、黒字を稼いでいる』という話 もしているわけであります。基本的な考 え方は、貿易投資はどうあるべきかとい うことについては、玉木委員とだいたい 同じではないかと思っております。

【玉木氏】
結局、答えてもらっていない。 総理、これ甘く見ない方がいいと思うん ですね。鉄鋼とアルミのときにも事前通 告なかったんですよね。私はこれアメリ カが今やろうとしていることは、もちろ んこれから始まるFFR(日米間の新貿 易協議=自由・公正・相互的)、この新 しいこの貿易の枠組みに対して何らかの ですね、てこをとろうとしているという ことかもしれません。
 いずれにしても、よくよく気をつけな いと駄目だと思う。今、WTOと言いま したが、中国をみてください。対抗措置 を打ってますよ。打つだけじゃなくてW TOの紛争解決の手続きに従って協議を しっかり申し入れ、第三国、第三者が加 わってくることも要請しインドなんかが 加わってきている。
 中国はWTOに基づいてしっかり措置 をすることによって、むしろ今WTO体 制の盟主のようになりつつあるんです よ。本来、これは日本がやるべきだ。そ れをやらずにトランプ大統領と仲が良い とか、ゴルフを一緒にしたではなくて、 言うべきことは言う、やるべきことをや らないと、わが国の利益とそして世界が この戦後 70 年作ってきた、それこそアメ リカの歴代大統領、日本もそうです。こ の自由で開かれた貿易体制が壊れてしま う。そういうことに立って私は判断しな ければならないと思っているんです。
 総理、鉄鋼とアルミについてはすでに これは実施をされています。ですから、 対抗措置を、WTOのセーフガード協定 上の措置を日本は講じるべきだと思いま す。アメリカに遠慮するんじゃなくて、 世界の貿易体制、自由貿易体制を守るん だという意識でしっかりと行動をすべき じゃないですか。対話だけではなく、行 動を示していくべきだと思いますが、い かがですか。

【首相】
玉木委員がおっしゃる意味はよ く私もわかります。しかし私たちも、戦 略をしっかりと持って米国と対応してい るわけであります。貿易交渉においても 戦略が大切であって、さっき私が言わん としたことは、いわばてこに使われて、 結局そちらで232の適用を逃れたかに 見えるが、実際は大きな損失を被ってし まうということもあります。
 ではそこで、WTO上、どうしていく かということについても、しっかりと戦 略を持っている。まさにWTO体制を守 っていく先頭に立つべきは日本だと思っ てますよ。その観点から、しっかりと私 たちも、行動すべきときには行動してい きますし、どのように行動して実際に国 益にかなうかということをちゃんと議論 をしておりますし、鉄鋼やアルミ業界あ るいは自動車業界の人たちともちゃんと 連携をとりながら、どういうダメージを 受けるか、どういう戦略で進んでいくべ きかということはしっかりと話をしてお ります。

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