女性政治家推進法が成立 初女性宰相への道険し
日本で初となる女性の政界進出を後押
しする女性政治家推進法が5月
16
日に、
参議院本会議の全会一致で成立した。
正式名称は候補者男女均等法だ。
現在、衆院議員の女性議員の割合は
11
・1%、世界の先進国ではフランスが
39
%、イタリアが
35
・7%、英国が
32
%だ。
それに比べると、わが国の女性議員は
圧倒的に少ない。
地方にいたっては女性ゼロの市町村議
会が352もある。これは全体の2割も
占めるほどだ。
普通に考えても住民の半分は女性だ。
しかも女性の方が長生きする現実を考慮
すると、田舎では女性の方が圧倒的比率
を保っていたりする。にも関わらず、女
性がいない所で、地方自治が行なわれて
いる現実がある。
これでは何とかしないといけないとい
うのは、理解できる。
そこで出来た女性政治家推進法は、と
もかく女性候補者を増やして男女の比率
のバランスを保とうというわけだ。
民主国家では選挙を経て議席は確定す
るので、初めから女性の議席数を割り当
てるというのは民主主義の理念に反する
ことになる。
わが国では女性政治家推進法で、女性
の政界進出を後押しする努力義務を負う
ことになった。ただ全会一致は結構だが、
強制力のない理念法なので本当にできる
のかという問題が残る。
外国では、具体策を伴った取り組みを
しているところも少なくない。
フランスでは、比例選挙では候補者名
簿の順を男女交互にしている。また、男
女候補者の比率の差が2%を超えてしま
った政党に対しては、ペナルティーを科
してもいる。また、ドイツのキリスト教
民主党では、3分の1は女性候補者にすると決めているし、社会民主党は一遍に
は無理だから、徐々にクオーター制にし
ていく方針を採択している。
なお、わが国では英国のサッチャー首
相やメイ首相のような女性宰相はまだ出
ていない。
これまで「女性初の首相候補」がたび
たび登場したが、いずれも挫折。トップ
への道はそれほど険しい。
女性初の主要政党党首となった土井た
か子氏は、リクルート事件を追い風に平
成元年の参院選で自民党を過半数割れに
追い込み「山は動かした」ものの、ブー
ムはやがて去り山の頂に立つことはなか
った。
小池百合子都知事は希望の党をバネに、
首相ポストを視野に入れていたが、「排
除」発言で百合の花は一気にしぼんだ。
そして、今回成立した女性政治家推進
法の立役者は野田聖子総務相だ。
野田氏が目指すのは初宰相。9月の自
民党総裁選への出馬も明言しているが、
敵対勢力を散らかして合流に歯止めをか
ける主流派の手の内で踊っているように
しか見えない。