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記者会見

外相太郎記者会見 8・22

DPAA訪問

【大臣】昨年外務大臣に就任してから、アメリカ訪問は度々ありましたけれども、ワシントンDC、国連総会のニューヨークだけでした。今回初めて、ワシントンDC、ニューヨーク以外を訪問することになります。今回のホノルル、サンフランシスコ、ロサンゼルスはいずれも日本からの企業進出も多く、在留邦人も多く、また日系アメリカ人のコミュニティが非常に強いところであります。日本とアメリカの関係をいろいろなレベルで強化していくためにも、こうした日系アメリカ人の社会との結びつきを強めていかなければならないと思っていましたし、彼らの歴史を日本にも広く知っていただく必要もあろうかと思っております。そういう意味で非常に有意義な訪問にしていきたいと思っています。ハワイではイゲ州知事、ハナブサ下院議員、それに加えて第100歩兵大隊、あるいは442連隊のベテランの方々、日系の学生の方々、あるいはハワイの日系人社会のリーダーの方々とお目にかかって、いろいろな意見交換をすることができましたが、日系の方々がそれこそ元年ものにはじまり150年の間にさまざまな苦労を乗り越えてアメリカ社会の中で信頼され尊敬を勝ち取ってきたこのプロセスというのは非常に大事なものだと思いますし、そうした日系社会に対する信頼がやはり日本にもしっかりこう映し出されているというふうに思っております。こうした日系人の方々のこれまでの歩みというものをもう少し日本でしっかり知られるようにしていきたいというふうに思っております。日本政府として日系社会とのつながりを強めていくということをしっかりとお伝えするとともに、元年もの150周年という節目の年でもありますので双方向にこうした方々の歴史を日本に伝える、あるいは日本からこの日系社会の絆を強めていきたいというメッセージをしっかりと出していく、そうしてお互いの理解を深めることが様々なレベルでの日米同盟の強化につながっていくというふうに思っております。ハワイはインド太平洋軍司令部、太平洋艦隊司令部があり、日米安保の中でも非常に重要な役割を果たす場所であります。両司令部を訪問して米軍の関係者と意見交換をすることを致しましたが、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、着実にお互い努力をしていこうということ、それから北朝鮮問題について日米両国、緊密に連携をしていこうということで一致を致しました。安保理決議の完全な履行がこの北朝鮮問題の中で大切だ、ということで認識は一致をし、特に瀬取りの問題について北朝鮮が安保理決議で定められた上限を超えた石油精製品の輸入を行っているという認識を共有し、全ての国連加盟国に対して直ちに北朝鮮に対する石油精製品の供給を止めるという観点からアメリカと連携し、また同志国と連携し、瀬取りに対する対応を強化していきたいというふうに思っております。

 また、DPAAを訪問して、これまで太平洋戦争下での旧日本軍の兵士の遺骨の返還等に際して非常に協力をいただいていることに感謝申し上げるとともに、太平洋戦争から朝鮮戦争含め、さまざまな遺骨の鑑定を含むDPAAによる取組につき説明を受けました。今し方総領事公邸で日系人のリーダーを含む日系人の代表の方々と夕食会で意見交換をしてきましたが、大変多くの様々な分野の方々とお目にかかりお話をすることができました。今後とも一層、この日本と日系人の間の橋渡しをしっかりとやってまいりたいというふうに思います。私からは以上です。

【記者】さきほどDPAAに訪問されましたけども、そちらの遺骨鑑定の技術というのは今後日本の遺骨などで生かされるお考えでしょうか。

【外相】これまで、太平洋戦争で亡くなられた日本軍の兵士の遺骨の返還に関して、技術面その他、大いに協力をしていただいております。今も様々な地域のプロジェクトをやっていらっしゃる。その中で米軍の兵士、そして日本軍の兵士、しっかりと分類をして、日本軍の兵士の遺骨に関しては返還の協力をいただいているところでありますので、改めて感謝を申し上げ、今後ともしっかりと協力をしていきたいということを申し上げました。

【記者】先ほどアキリノ司令官の話の中で、北朝鮮についての意見交換もされたということですが、確認ですが瀬取りについても今後、連携、引き続き連携していくことで一致されたということですか。

【外相】瀬取りに対する対応というのがやはり喫緊の課題だということで一致をしましたので、日米だけでなく、同志国との間の連携をしっかり強めて行きたいというふうに考えております。

【記者】さきほど話がなんどもありましたけれども、日系人の方たちの話がありましたが、今回、このタイミングで来られたということも含めて、日系人も今高齢化ですとか様々な課題も指摘されてますけど、それについてはいかがでしょうか。

【外相】外務省は2000年からJALD(ジャパニーズ・アメリカン・リーダーシップ・デリゲーション)というプログラムを進めて全米各地の日系人コミュニティのリーダーたちを日本に招聘をして、それがきっかけとなって米日カウンセルのような組織が立ち上がり、いままでどちらかというと日本に対して割と意識が希薄だった日系人社会が架け橋を作ろうということで動いてきてくれているというふうに思います。ハワイは今年は150周年という節目の年でありますし、カリフォルニアはロサンゼルスにジャパンハウスをオープンするということもありますので、そういう意味でさらにこの動きを強めて行きたいといふうに思っております。

【記者】IAEAがですね、北朝鮮が南北首脳会談後も核施設の一部を稼働させた兆候があると報告書で指摘をしたほか、アメリカの研究グループも北朝鮮のミサイルの試験場で解体作業が止まっているとの分析結果を発表しました。こうした一連のことに対する受け止めと、完全な非核化に向けて日本としてどう取り組んでいくかお願いします。

【外相】シンガポールでの米朝首脳会談というのは大きな一歩だったと思いますが、その後、ほとんど非核化に向けての進展がないというところは日米あるいはIAEAを含め認識が一致するところであります。我々としては、国際社会あげてきちんと安保理決議を履行することによって北朝鮮の背中を押して、非核化あるいはミサイルの放棄といったことにつなげていきたいというふうに思っております。

【記者】先ほど大臣おっしゃった中で、やはり日米様々なレベルで交流を積み重ねることが日米同盟の強化につながるというのは非常に印象的に思ったのですけども、今回の訪問、記者団の間でも元々は日系人コミュニティとの交流が多いし、地味だと思っていた人が多かったと思うんですけども、我々今回同行していて、彼らが非常に喜んでいることですとか、これまで殆ど外務大臣が来られたことがないと、岸田外務大臣が2016年に総理同行で来られていますけども、そういうことがなかったと、そういう中で、今回非常に異例の形で日系人コミュニティとこうやって交流されようと思ったというのは、その辺は、どの辺から来ているのでしょうか。

【外相】2000年にJALDのプログラムが始まりましたけども、1回目から夕食会をホストしたり、日系人社会といろいろ連携を私もやって参りました。そのときに思ったのが、総理、外務大臣、ニューヨーク、ワシントンDCには行きますけども、なかなかその間のハワイ、カリフォルニア、あるいはその他の日系人社会のあるコミュニティには立ち止まる時間が今まで無かったというのは反省しなければいけないと思ってます。岸田外務大臣にお願いして、カリフォルニアに行っていただいたときにですね、岸田大臣の前にカリフォルニアの日系人社会を訪れた外務大臣は河野洋平大臣だったと、しかもそれが、十数年そこから前だったという話が岸田大臣からありましたので、やはり、もう少し日系人社会にしっかり我々は目を向けると同時に、これまで様々な苦労をされてきた日系人に歴史というのをもう少し、日本の中でしっかり認識してもらう必要があるのかな、という風に思っております。今回の私の訪問が、そうしたことに少しでも役に立てば大変幸せだと思います。

【記者】まさにおっしゃっていたとおり、私もワシントンDCにいたので、日本から政治家の方たくさん来て、大使館もアポを取るのに精一杯頑張っている感じなのですけども、そういった中でずっと日系人コミュニティは割とスルーされていた感じがあるのですが、今回の訪問を機に、そういったことを改善していった方が良いというお考えですか。

【外相】そうですね。ワシントンDC ニューヨークに度々私も行っておりますけども、何回かに1回は、しっかり、やはりこうしたところへ訪問する必要があると思いますし、今回は、ハワイ、サンフランシスコ、ロサンゼルス3か所ですけども、これ以外にも小さいながら日系人社会がしっかりあるところがありますから、そういったところに、やはり色々足を運ぶのは大事なんだろうと思います。総理や外務大臣だけではなく、様々な人にそうしたところを訪問していただきたい、という風に思っております。

【記者】今日も、第100歩兵大隊の方や442連隊の方とお会いになってですね、まさに彼らの努力が日本に対する信頼につながっているというお話もされておりますけども、実際お会いになって、どういったことを一番、来る前と比べて感じられましたか。

【外相】第100大隊、あるいは442連隊については、これまでも色々な本を読んできたり、ビデオを見たりということがありましたので、非常に、そうした方々、あるいは関係者の皆さんにお目にかかれて、非常に光栄に思っております。皆さんおっしゃっていたのは、なかなか家族にも戦争の話はしなかった、ということをおっしゃっていましたけども、やはり第100大隊あるいは442連隊のその軌跡をみると、相当激戦のところを戦ってきた、だからこそ、パープルハート大隊という風に呼ばれるような状況になったわけで、大変悲惨な思いをされ、そのことについては、長い間家族にも話せないという状況だったのだと思います。本当に、そうした日系人の方々の苦労が忍ばれる、そういう出会いでありました。

【記者】さきほどあの、司令官との話で、米軍のですね、瀬取りについて確認したという話がありましたけど、瀬取りについては、あのここ太平洋艦隊のわけですから彼らがですね、よりその部分を強化すればですね、彼らに対して北朝鮮に対してプレッシャーをかけられるわけですけども、何かその部分で具体的に一致したというだけじゃなくて、より具体的に何か話し合われたことはあるのでしょうか。

【外相】瀬取り対応について、様々、意見交換を致しました。これ以上のことはオペレーションにもかかわりますので、差し控えたいと思います。

【記者】北朝鮮で、先日ですね、トランプ大統領がまた、首脳会談をしたいというような意向をまた言っていてですね、もしかしたらポンペオ長官がまた、訪朝するんじゃないかという観測も出ているわけですけども、なにかそういったものがあった場合に日米韓をですね、すぐにやったりとかですね、お考えはおありなのでしょうか。

【外相】また、ポンペオ長官が訪朝されることもあろうかと思いますが、そこは日米韓緊密に連携してきたいというふうに思っています。

【記者】昨日ですね、在韓米軍の司令官がですね、北朝鮮は終結宣言を求めています。朝鮮戦争の、それについてきちんと定義すべきだと、いうような話をしていてですね、大臣はずっと終結宣言のときには非核化が大事なんだと、まずおっしゃってるわけですけども、その部分で、日米間で終結宣言を出すときの定義とかそういった認識のすり合わせみたいなものは行われているのでしょうか。

【外相】今は終結宣言の時期ではなく、非核化を現実的に進めるべきという時期だという認識は全く一致しています。

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