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国民民主党 新代表に玉木氏共産と協力なら立憲と同じ

 野党の国民民主党は9月4日、都内のホテルで代表選のための臨時党大会を開き、玉木雄一郎共同代表(49)が津村啓介衆院議員(46)を破り新代表に選出された。5月の結党以来、初の代表選を経た玉木代表は「全党一丸となって党勢拡大に取り組みたい」と抱負を語った。
 だが、政党の理念が見えず選挙互助会の様相だ。代表任期の2021年9月末まで党自体が存続できるのか、早くも悲観論が噴出している。
 国会議員、公認予定者、地方議員、党員・サポーターによる投票で争った代表選の結果は、玉木氏204ポイント、津村氏74ポイントで玉木氏の圧勝だった。
 だが、玉木氏は党の理念や自らの政治信条を語ることはなかった。「これから代表としてやることはたった一つ。仲間を当選させることだ」というのでは、選挙互助会の域を出ない。
 他の野党に対する姿勢も甘い。「臨時国会が始まるまでに協力できる党・会派には統一会派を呼び掛けたい」と野党共闘を重視する姿勢を示したが、期待の立憲民主党は冷たい反応だ。
 先の通常国会で「対決より解決」路線を掲げ是々非々の対応を独自に突き進んだことから足並みがそろわず「しこり」が残ったまま。代表選では政権との対決姿勢を強調したが、疑念を消すことは容易ではない。
 消費税について玉木氏は来年秋の増税を実施すべきとの見解だが、立憲民主や共産などは反対だ。基本的な政策が異なるのに共闘できるのか。来年の参院選をめぐる方針では、立憲民主が共産との協力を前面に出していたのに対して玉木氏は「右でも左でもない中道」と語って消極的だった。
 ところが、今回、対抗馬の津村氏が露骨に立憲民主と同じ共産との連携を強調したため、玉木氏が軌道修正。「共産党を含めた調整を実現しないといけない。調整の仕組みは必要だ」と語り、野党間の候補者一本化に意欲を示したのである。これでは、立憲民主と変わりがない。
 玉木氏は「私たちがこの国の政治に必要だと国民に訴えていきたい」と意気込むが、いったい何を訴えていくのか。「(国会論戦では)バッタバッタと切り倒していきたい」ともアピールした。
 しかし、鼻息は荒いがこれで本当に1%に満たない政党支持率をアップしていけるのか、疑問視する向きは多い。代表選では、候補者が全国遊説を展開したが、党員・サポーターの投票率は約31%にすぎなかった。
 代表選前の8月22日、柚木道義衆院議員(比例代表中国ブロック)が離党届を提出し同党は除籍処分にした。現在、参院では野党第一党の国民民主党だが、これに追随する動きが出ないとも限らない。来夏の参院選を境に党が空中分解してしまうのではないか、そんな憶測が政界に広がっている。  

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