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記者コラム

障害者雇用促進に与野党はない

 中央省庁の雇用している障害者数が、42年間にわたって水増しされていた問題が浮上している。発覚したきっかけは、4月に改正された障害者雇用促進法に基づく算定方法についていくつかの省庁が厚労省に問い合わせをしたことにあった。
 そこで分かったことは、障害者手帳を持たなかったり、診断書の基準が足りなかったりといった状況でも障害者数にカウントしていた省庁が多く、その数は3500人程度にも及んだことだ。
 民間企業の場合、法定雇用率に満たないと、不足人数1人あたり月額5万円を国に納付しなければならないが、国のケースでは罰則がないためいい加減な報告をしていたのだろう。範を示すべき国が組織的な脱法行為を行っていたのである。前例重視の官庁が、働き場所として障害者に適する環境を整えることなど予算の面から負担だろう。だが、受け入れを厄介事ととらえて障害者雇用制度をおろそかにすることは許されない。
 これについて自民党の二階俊博幹事長は「与党側としては、国会対応なのでそれぞれの時間のこともあるしいろいろと事情もあると思うが、しっかりした国会対応をすることは当然のことだ」と語っている。野党第一党の立憲民主党なども閉会中審査の開催を求めている。首相が訴える1億総活躍社会の担い手には「障害や難病のある方々」が含まれているはずだ。この問題に対しては与野党の違いがあってはならない。ここは政治の出番だ。

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