トップページ >

記者コラム

「区別」と「差別」の違い

 この夏、月刊誌への寄稿をめぐって、杉田水脈衆議院議員(自民党)が猛烈な批判を受けた。LGBT(性的少数者)の「彼ら彼女らは子供を作らない。つまり『生産性』がないのです」と書いたことが大問題となったのだが、読めば分かるように、同性カップルは子供を作らないから、子供の生まれる可能性のある夫婦と区別すべきだというのがその趣旨である。
 ところが、マスコミは「LGBTは生産性がない」と書いたとして、杉田氏に「差別主義者」のレッテルを貼り大バッシングした。法務省の記者会見でも、質問した記者は同じ誤解の下に質問している。同氏の寄稿を実際に読んだのか、疑問である。
 日本でもLGBTの人権擁護が声高に叫ばれるようになったが、気になるのは「区別」と「差別」の混同である。ゲイやレズビアンなど性的少数者であることによる差別は人権侵害に当たる。しかし、婚姻制度の下の夫婦と、結婚とは認められない同性カップルを区別して考えることは当然のことで差別ではない。
 また、上川法相が語ったように、性的指向や性自認を正しく理解することと、同性カップルの性愛をどう考えるかは別問題である。後者は人それぞれの価値観によって違う。同性カップルの性行為を「罪」とする宗教は少なくない。夫婦と同性カップルを等価値に見なさなければ人権侵害だと強要すれば、それこそ信条・信仰の自由の否定であり、重大な人権侵害に該当することを忘れてはならない。

この記事のトップへ戻る