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記者会見

小野寺五典防衛相 記者会見 8・31

ロシア軍事演習

【大臣】私から、2件報告がございます。まず1件目ですが、自衛隊は、9月5日から30日までの間、自衛隊の戦術技量の向上やオーストラリア軍との防衛協力の更なる深化を図るため、千歳基地及び三沢基地並びにその周辺空域において、オーストラリア軍と国内では初めてとなる空軍種間の共同訓練を実施いたします。具体的には、千歳基地を拠点として、航空自衛隊のF─15戦闘機及びF─2戦闘機、オーストラリア空軍のF/A─18戦闘機による要撃戦闘訓練等を実施いたします。防衛省としては、今後ともこのような取り組み等を通じて、わが国と基本的価値及び戦略的利益を共有する特別な戦略的パートナーであるオーストラリアとの協力を一層強化していくとともに、わが国及び地域の平和と安定に貢献していく考えです。
 次に2件目ですが、北朝鮮に関する国連安保理決議の実効性確保のために自衛隊が実施している「瀬取り」の対応の状況につきまして、国内外に広く周知する観点から、本日より防衛省のホームページに動画を掲載しましたので、お知らせいたします。「瀬取り」の問題については、北朝鮮が安保理決議で定められた上限を超えた石油精製品の輸入を行っているとの認識で米国とも一致しております。国際社会が連携して、「瀬取り」を含む北朝鮮による「制裁逃れ」への対応強化に取り組み、国連安保理決議の実効性を一層高める必要から、引き続き、関係国とも緊密に連携しつつ、こうした取り組みを進めてまいります。

【記者】普天間飛行場の移設についてお聞きいたします。名護市辺野古沿岸部の公有水面埋め立て承認を、沖縄県が今日にも撤回する見通しです。撤回を受け、政府としては執行停止の申し立てや訴訟を含め、どのように対応するお考えでしょうか。また、撤回を受けて辺野古沿岸部への土砂投入をいつ頃としたいお考えでしょうか。

【大臣】埋立て承認の撤回についての御質問でありますが、まだ仮定の話であり、防衛省としてコメントすることは差し控えます。その上で申し上げれば、公有水面の埋立承認の撤回に関しては、先般、沖縄県が、沖縄防衛局に対する聴聞を実施したところであり、沖縄防衛局から、沖縄県が処分理由として示している事項について必要な反論をした上で、新たな審理期日の設定を要求したところです。沖縄県が、聴聞期日における当方の主張を踏まえて最終的にどのような判断をされるのか、今後の対応を見守りたいと考えております。

【記者】2点お伺いします。1点目は防衛費についてです。後年度負担が大分積み上がっているようですが、今後、サイバーや宇宙といった新しい領域への対応を強化していかなければいけない中で、過去に買い物したものの支払いが増えていて、中々予算がフレキシブルに使えない状況になりつつあるのではないかと思うのですが、今後、このあたりをどう変えていくおつもりでしょうか。

【大臣】私どもとしては、わが国の防衛に必要な装備を調達するということでありますので、今後ともその考えには変わりはないということです。

【記者】新たな領域への対応は、今の予算で十分に可能と思われますか。

【大臣】私どもとしては、必要な装備をこれからもしっかり備えていくことが大切だと思いますし、また、装備の取得に当たっては、その節減に今後とも努力をしていく考えであります。

【記者】2点目ですが、昨日トランプ大統領がツイッターで韓国軍との演習の再開はいつでもできると言っていて、その中で「日本とも」という文言を入れているのですけれども、それを読むと、まるで日本との間で何か取りやめた演習があるように読めるのですが、そういう事実関係はあるのでしょうか。

【大臣】ツイッター等については承知をしておりますが、米国と自衛隊との演習の中で特に取りやめたようなものはございません。

【記者】関連してなのですが、米韓軍事演習に関して、マティス国防長官は再開の可能性を示唆しましたが、直後にトランプ大統領はまた再開しない考えを示しています。米政権内の足並みの乱れを指摘する声もありますけれども、この辺りどう見てらっしゃるのか、米韓合同軍事演習を今後どのように見てらっしゃるのかということをお願いします。

【大臣】マティス国防長官は28日、現時点で今後の米韓合同軍事演習の停止について何ら決定していない旨述べたということは承知をしております。また、トランプ大統領は29日、現時点で米韓合同軍事演習に多額の支出をする理由はないが、演習はすぐに再開し得るとの考えを明らかにしたと承知しております。米韓合同軍事演習の今後の実施見通しについては、わが国として予断することは差し控えますが、米国政府は従来から、「米韓合同軍事演習の停止は生産的で善意のある交渉の継続が前提条件であり、そうではないと判断された場合には、合同軍事演習を行わないとの大統領のコミットメントはもはや有効ではなくなる」という説明をしております。いずれにしても、わが国としては、北朝鮮から安保理決議の完全履行に向けた具体的な行動を引き出すべく、日米及び日米韓三ヶ国で緊密に連携していくという考えです。

【記者】土砂投入そのものについては、今、どのような現状で、実施するのかをどのように考えてらっしゃるのでしょうか。

【大臣】これは、現場の作業の進捗状況ということが第一でありますので、その点については、台風その他、天候の状況で作業がなかなか進んでいないという報告を受けております。

【記者】沖縄県が撤回した場合、一定期間工事が止まることになりますが、これに伴い生じる損害金について、沖縄県に請求するお考えはありますか。

【大臣】まだ具体的に撤回についての書面等は届いておりませんので、仮定の話であり、コメントすることは差し控えたいと思います。

【記者】速やかに土砂を投入したいというお考えだったと思うのですが、改めて、埋立ての重要性、必要性また、スピードの大切さについてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】普天間飛行場の辺野古移設をめぐる問題の原点は、市街地に位置し、住宅や学校で囲まれ、世界で一番危険とも言われている普天間飛行場の危険性の除去が大事だと思っております。この危険性の除去、返還、そして普天間を固定化させないためにも、辺野古への移設を進めていきたい、そのためには一刻も早く辺野古への移設の工事を完成させたいとの思いです。

【記者】撤回については仮定の話ということですが、撤回によって工事が遅れるという認識はありますでしょうか。

【大臣】まだ、撤回についての具体的な文書等をいただいておりませんので、仮定の話にはお答えを差し控えます。

【記者】昨日、国連の人種差別撤廃委員会が日本に対しての勧告の中で、米軍機の事故や、女性に対する性暴力などの被害について、沖縄県の住民が人権を守るように勧告していますが、この状況について防衛省としてどのようにお考えでしょうか。

【大臣】内容については、外務省からお応えするような案件だと思いますが、いずれにしても私どもとしては、沖縄を含めた日本全国の中で、例えば米軍の基地が存在する場合、地元の住民の皆様に影響を与えないということが前提でありますので、そのことをこれからも米側にはしっかり申し入れをしていきたいと思います。

【記者】ロシアの軍事演習に関してですが、9月から演習を実施しておりますが、ソ連崩壊後最大規模ということで、択捉島でも演習の可能性を指摘されていますが、この軍事演習をどのように見ていらっしゃるかということと、日露関係の影響をどのようにお考えでしょうか。

【大臣】ロシア軍が戦闘訓練を総括して、毎年実施しています大規模な戦略指揮参謀部演習であり、今年は東部軍管区で実施される「ヴォストーク2018」ということであります。ショイグ国防大臣によると、軍人約30万人、航空機1千機以上、戦車等3万6千両が参加し、こうした大規模な演習は1981年以降初めてである旨言及されていることは承知しております。今回の演習については、今年7月の日露「2+2」において、私から、北方四島における軍備強化、わが国周辺におけるロシア軍機の活発な活動も合わせて、ロシア側の冷静な対応を求めてきたところであります。また、今週モスクワで行われました日露外務次官級協議におきましても、外務審議官から北方四島での活動についての懸念を伝えたということであります。
 今回の演習が日露関係に与える影響について予断を挟むことは差し控えますが、防衛省としては、こうした大規模な演習が4年ぶりに極東で行われるということ、また、今回は中国が初めて参加すると聞いておりますので、引き続き重大な関心を持って情報収集・分析を行っていきたいと思っております。

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